vol123 ミスターコンドームはタイを救う【ミチャイ・ビラバイダヤ氏】

タイで暮らす

突然ですが、タイで「ミスターコンドーム
と呼ばれる有名な方がいることをご存じでしょうか。

本名はミチャイ・ビラバイダヤ(Mechai Viravaidya)氏。
タイの政治家ですが、ある活動で特によく知られる人物です。

今日はミチャイ氏こと「ミスターコンドーム」について、
彼の活動と功績についてシェアします。
(この記事でも尊敬と敬愛の念を込めて
ミチャイ氏のことを「ミスターコンドーム」と書くことにします。)

なお、ミスターコンドームの情報は、
ご本人のTED TALKとMechai Viravaidya Foundationのホームページを
元にしています。

http://www.mechaifoundation.org/index.php

TED TALKは英語でのスピーチですが、
設定で日本語字幕もつけられるのでぜひ見てみてください。

 

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「ミスターコンドーム」ことミチャイ氏の経歴

ミスターコンドームはオーストラリアのメルボルン大学で学んだ後、
タイに戻ってきて政府機関で働き始めます。

ミスターコンドームは、「急激な人口増加が農村部の開発を妨げている」と考え、
the Population and Community Development Association(PDA)を設立します。
これはタイで最も成功している、非営利の民間組織です。

1974年よりPDAはタイ全土で
地域社会にねざした家族計画サービス、革新的な貧困削減、
農村での教育、大規模な農村開発と環境プログラム、
HIV/AIDS防止プログラムなどを始めます。

ミスターコンドームはNGOで活動する一方、
上院議員、また内閣のメンバーでもあり、HIV/AIDS防止政策を主導したほか、
農村部における貧困や教育問題にも取り組みました。

また、レストランCabbages and Condomsや
パタヤのthe Birds & Bees Resortの経営も行っています。

さらには、タイの企業の会長職を務め、
世界中の偉大な賞を授与されるなど、
そのユニークな活動と偉大な功績で
タイのみならず世界中で知られ、大変尊敬されている方です。

ミスターコンドームはいかにしてタイの状況を改善したのか【TED TALKより】

40年前のタイは貧困の中にありましたが、
ミスターコンドームが取り組んだのは福祉活動でも貧困撲滅運動でもなく、
家族計画プログラムでした。
また、その前に母子健康プログラムも成功を収めていました。

1974年タイは年間3.3%の人口増加率、
一家族における平均的な子どもの数は7人という状況でした。
この増加率は、止めなければいけないほどの数字です。

 

女性たちはピルを使うことに賛成しました。
しかしピルを処方する医者が不足していたため、
女性の看護師や助産師にも協力を求め、
彼女たちはピルの使い方を説明するなど大変な活躍をしました。

 

それでもこの活動はタイの20%の人たちしかカバーできません。
ミスターコンドームは残りの80%の人たちのためにさらに活動を進めます。

 

医療従事者ではない一般の人たち ‐コカ・コーラのお店‐ に
活動への協力を求めました。
コカ・コーラ社が一般の人々にコーラの営業を頼んだのと同様、
ミスターコンドームもこの活動を展開するのに一般の人々を選んだのです。
彼らは地域でよく知られており、顧客が常に正しいと分かっている人たちです。
この活動によって、タイの村中へコンドームとピルを届けることができました。
水上マーケットでさえ避妊具を買うことができるようになりました。

 

また、宗教にも活動を広げます。
タイは仏教国ですが、僧侶がコンドームやピルに聖水をかける儀式を行い、
その写真は国中に知られることとなりました。

(YOUTUBE 2’31″~ )

 

宗教の次は、学校の先生たちへ。
25万人の先生たちが家族計画に関するアルファベット
‐A, B=Birth, C=Condom, I=IUD(子宮内避妊具), V=Vasectomy(精管切除)‐
を学習しました。

また、「へびとはしごゲーム」を通じての学習も行いました。
たとえば、
「お母さんは毎晩ピルを飲みます・・・1マス進む」
「おじさんは酔っ払うとコンドームを使いません・・・ふり出しに戻る」
というように。

 

学校に通う子どもたちもコンドームリレーをしたり、
コンドームをふくらまし大会をしたり。
コンドームは女子のいちばんの親友になりました。

(YOUTUBE 3’44″~)

 

こういった活動の結果、
一世帯あたりの子どもの数は7人から1.5人に、
人口増加率は3.3%から0.5%に減少しました。

 

 

その後タイでAIDSが発生したため、
ミスターコンドームはAIDS防止の活動に取り組み始めます。

政府にこの活動を拒否されたためタイの軍部を訪ね、
全ラジオ局とテレビ局を使わせてもらえるよう依頼をしました。
その後タイの首相が変わって政府としても活動に取り組むことになり、
新しい首相は国家エイズ委員会の議長になり、予算を50倍にしました。

 

AIDS教育はまず大学生から、
そしてすべての学校で実施されるようになりました。
高校生がほかの高校生の先生となって教え合い、
小学校3,4年生の子どもたちが家々を訪問して
AIDSの情報とコンドームを配りました。

また、「キャプテン・コンドーム」なるキャラクターが現れ、
街や繁華街、いたるところでコンドームを配布しました。


(YOUTUBE 7’56″~)

タクシードライバーはタクシーでコンドームを売り、
警察官さえ町でコンドームを配りました。
ホテルや学校の冷蔵庫にもコンドームを置きました。

 

AIDS防止活動の結果、
国連の報告によるとHIVの新規感染者は90%減少し、
世界銀行は7.7万人の命が救われたと報告書を出しています。

ミスターコンドームは、
「大量破壊兵器(the weapon of mass destruction)ではなく、
大量防衛兵器(the weapon of mass protection)を見つけた。」

と言います。

 

さらにAIDS/HIV防止の次は、貧困問題に取り組みます。
ただ施すだけではありません。
貧困にある人々にお金を稼ぐ術を教え、小さな経営者に変えました。

有効利用されていない学校を生涯学ぶことのできる場にすることをめざし、
教育問題にも取り組みました。

ミスターコンドームは
ミレニアム開発目標MDGを達成するためには
家族計画を追加する必要がある、
それには医者や看護師だけでなく、
すべての人が取り組まなければならないと考えています。

 

 

タブーをなくし、考えるきっかけを作ったミスターコンドーム

タイでも、家族計画について率直に話すことは社会慣習上良しとされない、
つまりタブーとみなされていたそうです。

ミスターコンドームはそのタブーを打ちやぶり、
一般の人から医療従事者まで大人も子どもも巻き込んで、
「避妊」「家族計画」の啓蒙をしました。

また、その活動を広げるに際して
「コカ・コーラ」という着眼点が非常に興味深く感じました。
コカ・コーラも町中どこでも、いまや世界中どこでも手に入りますが、
そのコカ・コーラと同じくらい
コンドームも「必要だ、欲しい」と思った時に手に入れられることで、
より「避妊」「家族計画」というものが身近になったのだと思います。

 

 

普段の生活の中でなかなか真面目に「避妊」「家族計画」について考えたり、
こういった活動を調べるということはないと思いますが、
ぜひcabbages and condomsに行くことをお勧めします。
バンコクにはBTSアソーク駅から徒歩10分程度。
ミスターコンドームがつくった、
コンドームをモチーフとするタイ料理のレストランです。

 

もちろんエンターテイメント性があるレストランなので
「楽しい」「面白い」と思って過ごすことができるかと思います。
ミスターコンドームもタブー視されてきた家族計画・避妊といった話題を
よりフランクに話し合うことを願ってこれまでの活動をしてきたはずです。
ただし、「性的なこと」を面白がったり悪ふざけで扱う場所ではなく、
あくまでも家族計画の啓蒙を目的としたレストランです。

店内にはコンドームでできた人形がディスプレイされ、
コンドームをモチーフにしたキャラクターのグッズが売られています。
帰りにはコンドームをお土産としてもらえます。

主に外国人や観光客の間で人気のようですが、
その奇抜さで話題になっているだけではありません。
料理の評価も大変よいレストランで
おいしいトムヤムクンやプーパッポンカレーが食べられます。

 

医療従事者だけでなく一般の人々までとの言葉通り「全員」を巻き込み、
家族計画について、コンドームやピルや避妊について
知識や考える機会を個人個人に与え、
人口増加の抑止、AIDS/HIV予防、と国家レベルの結果まで出した
ミスターコンドーム氏の功績は大変大きなものと思います。

誰かと話し合うこと、相談することをためらってしまう話題ではあるけど、
「国家の問題」という視点から考えるのは難しいにしても
自分自身や家族、パートナーの健康・人生を守るために、
知っておくべきこと・考えるべきことはたくさんあるはずと思います。

 

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