vol53 タイ・象乗り体験は娯楽か虐待か。~Elephant rides in Thailand : fun or cruel?~

タイで遊ぶ

タイの旅行の目玉、象乗り体験(エレファント・ライド)をご存知ですか。
タイには多くのエレファントキャンプがあり、
象乗り体験は人気の観光アトラクションです。

 

ただし、この人気の象乗り体験の裏には、
残酷な現状もあるそうです。
今回は、ドイツのドキュメンタリー番組”DW Documentary”内のコンテンツ、
“Elephant rides in Thailand : fun or cruel?”をもとに、
象乗り体験の裏側を考えます。

 

Youtubeで見られる動画なので、ぜひ見てみてください。
(字幕・音声とも英語です。)

Elephant rides in Thailand: Fun or cruel? | DW Documentary

※今回は、象乗り体験のオススメスポットやアトラクション紹介が
主旨ではありません。

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タイで人気の象乗り体験とは。

タイ旅行でやってみたい、象乗り体験。
アユタヤやチェンマイ、パタヤなど各地への象乗り体験ツアーもある、
人気のアトラクションです。
大きな象の背中に乗って散歩したり、
記念撮影をしたり、象のショーが見れたりします。

わたしもタイではないですが、インドで象の背中に乗ったことがあります。
2~3mの高さがあり、グラグラ揺れるのが最初は怖いですが、
乗ると一気に景色が変わって楽しかったのを覚えています。

 

余談ですが、ラオスでは象使いの免許が取れる、
というのも有名な話ですね。

とあるエレファントキャンプの象、Ning(ニン)の1日。

とあるエレファントキャンプの象、Ning(ニン)は、
寝床で短い鎖につながれ、一晩を過ごします。
鎖はあまりに短くほとんど動けません。
翌朝、パートナーの象使いが持ってくるえさを食べ、
鎖を外してもらい、水浴びに向かいます。

水浴びを終え、背中に人が乗り込む鞍を乗せて、お客さんのもとへ。
この鞍だけで40kgほどあります。

Ningは1回30分のコースを日に5回程度こなします。
もっと長時間のお散歩コースもあります。
他にも、観光客の写真撮影に応じたり、
象のショーでサッカーボールを蹴って見せたり。
お客さんは歓声をあげて大喜びです。

1日が終わると、パートナーの象使いに水浴び場で体を洗ってもらい、
翌朝まで14時間、短い鎖で寝床に繋がれ、1日が終わります。
明日も明後日も、また同じ1日が続きます。

象乗り体験の裏側の残酷な現状。

さまざまな芸を披露する多才な象ですが、
もちろんこれは訓練、調教を受けてできるものです。

 

象はまだ子どものうちに、訓練を受け始めます。

まずは象に、象使いと象の上下関係を教え込みます。
象は檻に閉じ込められ、鎖につながれて引っ張り回され、
言うことを聞かなければカギ付きの棒でケガをするまで叩かれます。

象は暴れて抵抗しますが、逆らえば逆らうほど痛い目にあいます。

象は非常に大きく、危険な動物なので、
象使いの言うことを聞かず暴れたりされたら大問題ですから、
「象は象使いに絶対服従である」と理解させるのです。

 

このやり方を虐待だと主張する人や組織もいます。
タイにおいても動物愛護法に相当する法律はあり、
動物虐待は禁止されています。

それでも、
この訓練(あるいは虐待)は人目につかないところで行われていること、
このやり方がタイの伝統的な方法であることから、
多くの人はこういった問題には無関心であり、
そもそも象乗り体験の裏でこのようなことが行われていることを
認識すらしていません。

 

動画の中で象使いたちは、
「象は家族のような存在だ」「愛情と尊敬の念を持って接している」
と言い、愛おしそうに象を見ていますが、
象の調教に関しては多くを語ろうとはしないようです。
「象が言うことを聞かないとき、
機嫌が悪そうならエサをあげるし、それでもダメなら棒でちょっと叩くんだよ。」

 

カギ付きの棒は象使いの必需品。
「犬ですらリードをつないで散歩するのに、
象はもっと巨大な動物でしょ?
万が一の緊急事態の時には、この棒で叩かないといけないんだ。」
と象使いは言います。

「象乗り体験に参加しない」がもたらす状況。

この象乗り体験という象に対する虐待や、
象の調教という虐待を止める解決策として、
「象乗り体験に参加しない」ということがよく挙げられます。

 

自分が象に乗らないことで、今いる象を苦しめなくて済む、ということ。
需要があるから供給されるわけで、
象乗り体験に参加する人がいなくなれば、
象乗り体験にかり出される象も、
残虐な調教を受ける象もいなくなる、ということ。

どれも正しいように思います。

 

 

一方で、先日タイの英語誌Bangkok Postにこのようなニュースが掲載されました。

Hungry and in chains, Thailand's tourist elephants face crisis
Underfed and chained up for endless hours, campaigners warn many elephants working in Thailand's tourism sector may starve, be sold to zoos or shifted into the ...

“Hungry and in chains, Thailand’s tourist elephants face crisis”
(空腹のまま鎖でつながれたタイの観光業の象、危機に直面する。)

コロナウイルスの流行で観光客が一気に減り、
象使いの収入が減ったのはもちろん、
象のえさも買えず、象は空腹のまま鎖でつながれているのだそう。

 

このままでは、象は飢えるか、動物園に売られていくか、
違法な森林伐採にかり出されることになるかもしれません。

象も自分で稼いで収入を得ないと、食べていくことができない状況です。

 

たまたまコロナウイルス騒ぎでこのような経済難の状況に陥っていますが、
仮にわたしたちが動物保護の観点から「象乗りアトラクションに参加しない」
と決めたとしても、それはそれでまた、
象が食べていけない、という状況を引き起こすということです。

 

そもそも象を捕まえて、人間の管理のもとで生活させ、
支配しようとしたのが間違いだとは思いますが、
象がもうすでに野生の生活にはなじまず、
人間の管理下でえさを与えられながら生きている以上、
その象が死ぬまで何らかの方法で人間が介入する、世話を見る
という必要があるのではないかと、
このニュースを読んで感じました。

 

「象乗りアトラクションに参加しない」という選択は、
需要を減らすという意味で正しい行動ではありつつ、
目の前に今いる象は食べられずに苦しむようです。

象乗り体験は娯楽か虐待か。

わたしは動物保護活動家でも、ビーガンでもありません。
お肉は好んで食べるし、本革のカバンも使います。
水族館が大好きで、象にも乗ったことがあります。

象乗り体験を今すぐやめろ、とも思っていません。
それが最善の解決策だとは思えないからです。
(有効な方法だとは思います。)

タイは観光立国だから、この象乗り体験もタイの収入源の一つだろうし、
それを職業にして生活しているタイ人もいます。
エレファントキャンプにいる象も、
象乗り体験で得られる収入でエサを食べ、生活している状況です。

ただ、「暴力による訓練、調教」という状況は、
変えられるべきだとは思います。

象乗り体験は娯楽か虐待か。

ぜひ動画も見てください。
まずは知るところから、考えるところから。

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