vol115 タイはなぜ新型コロナの抑え込みに成功したのか?

タイで暮らす

2019年末ごろに中国・武漢で発生し、
世界的に大流行している新型コロナウイルス。

最近ではワクチンや薬の開発が進められているものの、
いまだ実用には至らず、感染もなかなか収束しません。

日本では一時期は感染者数は減っていましたが、
ここ最近はまた感染者数が増えて感染第二波と言われていますね。

一方、タイは感染拡大の抑え込みに成功しています。
タイでも多い時は1日に100人近く新規感染者がいましたが、
5月26日以降は海外からタイに来た方の感染のみで
タイ国内での市中感染は0人の状態が続きました。

つい先日、100日ぶりに1人国内感染が確認されましたが、
今のところ感染拡大の続報はありません。
タイ、100日ぶりに新型コロナ国内感染確認(Newsclip.be)

タイはなぜ新型コロナ感染拡大の抑え込みに成功したのか、
考察してみました。

vol58 バンコク・新型コロナウイルスの記録(1)
世界中で新型コロナウイルスが大流行し、 各国で経済活動停止、ロックダウン、フライトの運休など、 大変な状況ですが、いかがお過ごしでしょうか。 今回はタイで新型コロナウイルスの感染が確認された1月13日~3月1日までの記録を、いくつかのトピックをピックアップしながらお伝えします。

 

スポンサーリンク

商業施設・飲食店等の営業停止・・・徹底した拡大防止対策

政府が商業施設等の人が集まるところを営業禁止にし、
徹底的に人が集まる状態を避けたのが大きな要因でしょう。

タイ国内での感染拡大を受けて
タイ政府は3月17日に、バンコクおよび近郊県の娯楽施設を
3月18日~31日まで営業禁止とすることを発表。
この時はマッサージ店やパブ、バー、映画館などが営業禁止になり、
ソイカウボーイやタニヤ等は明かりが消えて真っ暗になりました。

さらに3月21日には
3月22日~4月12日まで人の集まる施設の営業禁止を発表。
スーパーマーケットやドラッグストア、銀行などは営業していましたが、
ショッピングモールやレストラン(テイクアウト&デリバリーのみ可)などが
追加で営業禁止の対象となりました。


営業停止中のショッピングモール。飲食店のみテイクアウト営業。

 

マッサージ店の従業員の収入が途絶えたり、
飲食店や商業施設も売り上げが途絶える・激減するなど、
非常に大きな影響を及ぼす措置ではありましたが、
発表の翌日には営業禁止というものすごいスピード感のある対処で
政府の是が非でも感染拡大を止めようという姿勢が感じられました。

政府が強権的な対応をしたことや
「今日発表で明日発令」といったあまりに突然な対応に
批判があったこともたしかですが、
感染拡大を止めるという意味では
商業施設等の営業を禁止し三密を作らないこの対策は
大きな意味があったに違いありません。

感染を恐れるタイ人の自主的な自粛生活

「マイペンライ精神」などと言われるように
何となく明るい楽観的なイメージがあるタイ人ですが、
新型コロナに対しては「マイペンライ」といった様子はなく
驚くほどの警戒心を見せ、
自主的な自粛生活を送るタイ人が多くいました。

 

商業施設等営業停止措置が始まる前、2月ごろの話ですが、
わたしが「仕事終わりに友だちに会うんだよね」とタイ人に話すと
「コロナ感染したら怖いからやめた方がいいよ」と忠告を受けたり、
歯医者に用事があって「クリニックに行く」という話をタイ人にすると、
「えっコロナ大丈夫なの?」と心配されることが何度もありました。

感染拡大初期の1~2月ごろというと、
わたしの周りのタイ在住日本人は
「手洗いうがいすれば大丈夫でしょ」と楽観的で
いつも通り飲み会やゴルフに行く日本人も多かったのですが、
タイ人は海外出張は絶対嫌、満員電車に乗りたくない、
遊びに行かないなどかなり新型コロナを警戒していました。


2020年4月のBTS。乗客が少ない。

日本では強制力を持った自粛命令が出せず
いわゆる「夜の街」での感染拡大も問題になりましたが、
タイ人はショッピングモールや飲食店が営業再開した後もしばらくは警戒して
会社の飲み会はやりたくない、在宅勤務を続けたい、との声があったり
バンコク外の実家に帰るのを控えるなどの姿が見られました。

なかには夜間外出禁止令を破ったり
パーティ等で集まって騒ぐ人もいましたが、
多くのタイ人は新型コロナを怖がって自主的に自粛したことが
感染拡大を抑える一因になったと考えられます。

 

感染拡大は止めたが・・・タイ経済の落ち込み

新型コロナの感染を抑え込んだ、という点においては
タイは成功した国と言えるでしょう。

ただし、これらの感染拡大対策が
タイ経済に大きな影響を及ぼしたのも事実です。

 

まず政府が各種商業施設等の営業を禁止したことで失業者が急増。
700万人以上が失業したと言われており、
新型コロナによる生活苦で自殺者が増加。
また、営業禁止となり売り上げのたたない飲食店等の廃業も相次ぎました。
営業禁止が解除された後も、海外からの入国が禁止されている間は
観光客を主要な客として営業していた繁華街や
出張者の接待に利用されていた日系居酒屋などは客足が戻らず、
閉店してしまったところが多くあります。

タイは世界屈指の観光立国ですが
いまに至るまで海外からの入国を厳しく制限しており、
2019年の訪泰外国人者数は4000万人ほどいましたが
2020年はもちろん激減。
2020年1-7月の外国人旅行者は前年同期比70%減、
観光収入も同じく70%近く減っています。
稼ぎ頭であった観光業からの収入が見込めず、
タイ経済は大打撃を受けています。

新型コロナの感染拡大には成功したもののタイ経済に与えた影響は大きく、
タイ中央銀行はタイ経済が新型コロナ前のレベルに戻るのは
2022年以降になる見通しだと発表。

新型コロナの抑え込みは成功しましたが、
新型コロナ感染拡大の抑え込みとタイ経済の両立、
という意味では決して「成功」とは言えない状況です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました